ハート・リング通信 2014年

第8回 2014年7月

認知症でもスポーツを 車いすバスケ 杉山浩さんインタビュー

ハート・リング運動 専務理事 早田雅美

 「若手選手の指導をする時に必ず言うことがあります。“失われてしまった機能を追い求めてはいけない”“残された機能を最大限に生かせ”と。例えば手が残り、片足が残り、眼が残り、残っている機能を知り、それをどう使って、できることを増やしていくかが、どこまでも自分自身の人生づくりなのです」
 「これは、障害者スポーツの父グッドマン博士の名言なのですが、増え続けている認知症の方に対しても、ぴったりはまると思うんです」と話して下さったのは、車いすバスケットボールの全国大会でも度々優勝している強豪「千葉ホークス」の杉山浩ヘッド―コーチです。
 自身は、20際の時に仕事中の事故で骨盤以下の左脚を失いました。現在ヘッドコーチとして各地を飛び回りながら、知的障害者の就労支援という仕事にも携わっています。数年前までは、大手介護事業所でグループホームや訪問介護、デイサービスなどの運営に15年間も関わって来ました。
 「介護事業は、決められた保険制度の中で運用されるため、どこも同じようなメニューが多く、せいぜいリハビリという言葉の中で、体や手先を動かす運動が行われている程度です。私はそこにボッチャなどという勝ち負けを競う競技や、目標を持てるスポーツコンテンツを導入していました」
 しかし、現実には日々こなすべき生活メニューも多く、スポーツメニューは充分でなかったと言います。
 「介護事業に携わっていると、約7割のご家族が私たちへのお任せで要望なども特にない。事業者としては信頼いただいている証ですが、一方でなぜもっと話し合い提案し合えないのかとも思っていました。スポーツの素晴らしさは、どんな人にも、目標や社会性を与え、何より自信を与えてくれるというところです。今後介護の分野で在宅移行が進むなら、一層スポーツがたくさんの人と人や、人と地域を結ぶ手段となることを期待しています」と言います。
 ハート・リング運動は、杉山さんが理事を務める一般社団法人「運動の和」(後藤純也代表理事)のご協力をいただいて、認知症の方がもっとスポーツを楽しめる社会の実現を訴えていきたいと考えています。

インタビューに答えてくださる杉山さん
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