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ハート・リング通信 2014年

第3回 2014年2月

認知症生活のニーズと 企業の持つ技術を繋ぐ

ハート・リング運動 専務理事 早田雅美

 冷え込みの厳しいこの時期に読んでもすぐには思い出せないかもしれませんが、昨年の夏が全国各地で40度以上を記録するなど凄まじい猛暑だったことを覚えていらっしゃるでしょうか。
 熱中症になる方が続出し、8月中旬の新聞には「都内の熱中症死亡、120人超す」という見出しも踊りました。
 熱中症で亡くなるのは、やはり高齢者が多いそうで、なかでも認知症の方の単独世帯に目立っていたようです。8月12日にも東京都港区の民家で、認知症の夫(87歳)と介護する夫人(78歳)の2人とも 熱中症の症状で倒れているのが見つかり、夫人は亡くなったということがありました。痛ましいことに、この夫人は10日ほど前に認知症と診断されたばかりだったといいます。
 認知症の方は、猛暑などの環境変化に対して状況を適切に認識できず窓を閉め切ったままにしたり、仮に認識できたとしてもエアコンを操作することが難しかったりする場合もあります。
 こうした困りごとは、企業が既に持っている技術で克服できる可能性もあります。
 昨年7月のハート・リング運動設立記念シンポジウムには、株式会社内田洋行の佐藤将一郎広報課課長をお招きして、創業103年「社会のためになること」を社是としてきた歴史と、同社が開発しているオフィスのための省エネ最新技術をご紹介いただきました。
 ご紹介いただいた技術は、高精度のセンサーが、必要な室内の照明やエアコンを自動でオン・オフし、スイッチ操作不要で常に最適な環境を維持するというものでした。
 たまたま私が同社のライブオフィスを拝見している際に、佐藤氏のご説明から、こうした技術が認知症世帯の生活を守れる可能性はないかという話になり、シンポジウムにもお越しいただいたのでした。
 「私たち企業の持つ技術力が、認知症のような社会課題解決に繋がるのであれば、まさに社会とともに100年続いた企業として喜びで、可能性も感じます」と佐藤氏は語ってくださいました。
 実は、このコラムを書いている時も、「寒いといけない」と認知症の母にストーブを向け、ちょっと目を離している間に、暑過ぎたようでサウナの中のように大汗を流している姿を見つけ、ドキッとしました。
 もし新たな高齢者向け住宅開発などのお話があれば、「スイッチ要らず」が認知症の方の生活を守ってくれるかどうか、試してみたいものです。
 ニーズと企業を結ぶことも、私たちハート・リング運動の重要な活動です。認知症の方や介護をする方々が、「大切なお客様」として多くの企業から注目され尊重される時代が待たれます。読者の皆さんからの企業に対する要望や自由なアイデアもお待ちしています。

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