認知症に、歯科医師だからできること。
 
以前ご家族から「入れ歯が合わないので診てほしい」と依頼され、訪問診療をした時のことです。診ると上の入れ歯が全く合わない。患者さ んは認知症の女性でしたが、話を聞くと、その入れ歯はなんと亡きご主人のものでした。合うわけがないと、思わず笑うと、おばあちゃんは「だって、おじい ちゃんの入れ歯だもの」とつぶやきました。その瞬間、私は笑った自分を恥ずかしく思い、おばあちゃんはおじいちゃんの思い出の中で生きているのだと、知ら されました。われわれは、認知症を正気を失った人と思いがちですが、でもその正気とは、我々が思い込んでいる世界のことであり、認知症の人たちには彼らの 世界があるのではと、考えさせられた経験でした。今、歯科医師は、このような体験を積みながら、認知症も含めた要介護者を支えたいと在宅歯科医療を進めて います。と同時に、きちんと噛める歯を残すことや、例え歯を失っても噛める義歯を入れることで認知症が防げると判明した調査をもとに、我々の責務を果たし たいと願っています。その意味でこのハート・リング運動の趣旨に全面的に賛成し、多くの輪を広げられたらと願っています。
 
大久保 満男
NPO法人ハート・リング運動 特別顧問

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